理事長・大高勇気紹介

これまでの歩み

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2002年中国語もわからず、中国広州へ。2004年に起業し、中国茶を紹介し始める。2007年から中国国家資格茶藝師の認定校となり、13年間の活動を通じて歩みを重ねてきました。 累計生徒数1700名、認定資格茶藝師1100名を超える学校になり、卒業講師も302名となり、中国や日本を中心に中国茶の普及活動に努めて参りました。 2016年に中国茶の二大資格である「茶藝師」が国家資格の職種から取り消され、これから様々な地で様々な方達が流派の確立などの 動きが著しくなると思います。私達は9年間国家資格茶藝師の認定校として活動をしてきましたが、今後は国家資格認定校と呼べなくなりますが、 中国を代表する農作物である中国茶を伝える使命を全うするべく社団法人設立を決めました。 この素晴らしい農作物を作っている茶農家を力強く支えてきたのが「茶藝師」の存在だと考えます。 どんなに美味しいお茶があっても、淹れ方が変われば香り、味わい、後味に大きな影響を与えます。 基礎を理解され、お茶の喜ぶ淹れ方を行う事で、中国茶は一層美味しくなる事をこの9年間見続けてきました。 初心者で中国茶器の持ち方もわからない方が講座を学びながら一歩一歩、着実にお茶を淹れる事が上手になり、 高級茶藝師を受験する頃には、お茶・茶器・水温・蒸らし時間等を計算し、絶妙なバランスでお茶を淹れる成長を見る度に、 茶藝師の素晴らしさや偉大さを実感していました。

10年間歩き続けた私の感想「茶藝を残したい」

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茶藝には表演と呼ばれる作法があります。この作法は中国茶の世界ではおもてなしと言われ、 優雅な動作でお茶を淹れる事で中国茶の魅力を最大限引き出します。しかし近年では「茶席」と呼ばれる、テーブルコーディネートをして、 丁寧なお茶の淹れ方が中国内でも流行り、茶藝館などでは素晴らしい茶席でおもてなしをしている場所が増えています。 これを成長と呼ぶか、進化と呼ぶか、退化と呼ぶかは正直私にはわかりません。個々の価値観が急激に変わる中国において、 それを追求する事は極めて難しいと感じております。2010年以降は各地の高級茶藝師試験にて、茶席を行う地域が現れ源流がかすみ始めました。 茶席には、試験官の採点基準が不明確であり、国家基準という考え方よりも、試験官の好みで採点をしているケースが多く、 標準化や公平性を大事にしていた私にとって、多くの葛藤がありました。国家試験官として、学校の校長としての立ち位置、目指す場所を考え始めました。 表演は地方文化や歴史が背景にあり、茶器や背景や音楽と動作で「感じて」頂く一つの芸術だと私は解釈しています。 ただ、現実的に表現すれば茶器も古臭く、動作も少し無駄があり、ダンスなどもあり、現代の流れとは大幅に違う物がある事は否定できない事実です。 要約すると「実用的ではない」というレッテルが貼られてしまったのです。客観的に流行りや実用性から見れば紛れもなく正しい判断だと思います。 時代が変わり新たな物が流行り始めると原点はぼやけ、無くなってしまった文化は過去にたくさんあります。 残った物のみが歴史や文化の流れに乗れたと私は歴史を見ています。時代が必要としなくなった茶藝の原点なのかも知れませんが、 私は中国が培ってきた歴史の中で茶藝は極めて大切にしたい茶文化の一つです。だからこれからも原点を伝え続けます。 「茶藝師=お茶を淹れる人」茶藝師に必要な事は、与えられた茶葉を一番美味しい状態で淹れる為に、 茶器や水を用意して綺麗な所作で淹れる事です。この「綺麗な所作」だけを学べば良いとされてしまい、簡易化されてしまいました。 時間のかかる茶藝表演をしながら日頃お茶を淹れるのか?と聞かれれば決してそうではありません。

簡易化されすぎる事への危機感

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「綺麗な所作」の簡易化を考えると、いつも「匠の技」が脳裏から離れません。日本の稽古には「守破離」と呼ばれる単語があります。 徹底的に真似る「守」、己を確立する「破」、己を道を歩く「離」。形が非常に形成されにくい文化において、基礎は極めて大切だと考えます。 確固たる基礎を私達は皆様に伝え続けてきました。そして、これからもその基礎を伝え抜く決意で講座を開講しております。これが私達の社会的役割だと確信しているからです。 基礎を学んだ上に、受講生の皆さんが自分の表現方法でお茶と付き合って頂ける事を切に願っております。 しかし、過去の茶藝師講座だけでなく、先ほど申した「茶席」の基礎を学び、自己表現のレパートリーを増やす基礎作りもしていきます。

中国茶を次のステージへ

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中国茶を次のステージに繋げる事も私達の重要な役割だと実感しております。 国家試験となった「茶藝師」は1999年に初の試験が行われ、この時点で茶藝師の枠が固定してしまいました。 カリキュラムを大切にしてきたが故に出来なかった事もあると考えます。中国には2つの国家資格があります。 「茶藝師」はお茶を綺麗に淹れるお点前には長けているが、お茶の香りや味わいを上手に感じられない。 「評茶師」はお茶を等級付けして良し悪しはわかるが、普通にお茶を淹れる事は基本的に習わない。 両者の真ん中にあるお茶を飲みながら香りがどのように良く、味わいがどのように良いかを感じる事が出来ないのが現状。 普段お茶を愉しむ時に最も大切な事が欠けていたようにも感じていました。 そこで、お茶を丁寧に淹れ、しっかりとお茶の良し悪しを感じられる「品鑑課」を開講します。 「品:お茶を嗜む。鑑:お茶を鑑定する。」お茶を淹れながら淹れたお茶に対して感じることを話し合い、 より深い部分までお茶を理解して頂きたいと思います。お茶は3000種以上あると言われ、等級などを加えると数えきれないほどのお茶が存在します。 だからこそ自分の味覚を鍛える事でそのお茶を少しでも理解してあげられるようになって欲しい。 形だけの勉強から、より実践で使える講座にしたいという願いを込めました。

知識を学ぶだけがゴールではない

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産地をしっかりと歩き、一緒にお茶を作り、農家の方達と共に語り合い、茶葉との距離を縮めて触れて頂きたい。 私の願いは皆さんがお茶の産地である原点まで行き、皆さんの感性で感じて頂く事をゴールに目指しています。 情報が溢れる現代社会において、知識はネットや書籍でたくさん学ぶことが出来ます。学ぶこともお茶を知り、理解する角度から見れば大切な事だと思います。 私は皆さんの手で写真を撮ったり、景色やお茶を感じ、自分の感覚で紹介して頂く事を一番大切にしていきたいと考えています。 私の考えの根底に「現場に答えがある」という現場主義です。自分が産地を歩き続け、たくさんの農家の方と色々な角度で触れ合い、 たくさんの良い事と、多くの悪い事を知りました。書籍では紹介される事が無いようなグレーゾーンも多々見てきました。 しかし、その全てが現地にあるものであり、実態を証明している事は揺るぎない事実だと考えます。 聴くことも大切ですが、私は自分の目で見る事の大切さを一生涯続け、 産地を歩きたい方をアテンドすることをこの協会を設立した目的にしています。

私達が飲むお茶の原点

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私達が飲むお茶の原点にこだわる理由はいくつもあります。一番大切だと思っている点は、皆さんが日頃飲む中国茶には必ず長所と短所があります。 これは人と同じで完璧な人がいないのと同じだと思っています。足りないと思う点は、なぜ足りないのでしょうか?どこが足りないのでしょうか? 香りが高くないのか?味わいに苦味が含まれるのか?お茶の味わいがすぐ無くなってしまうのか?茶葉がボロボロとしているのか? 茶葉を見分ける全ての要素はその茶葉にあります。そして、その茶葉にある要素は全て産地で作られたと考えているからです。 良いや悪いという言葉で終わってしまうのではなく、なぜ?と、どうすれば?を私は一番大切にしています。 必ず原因があります。その原因を知ることで、茶葉との距離は確実に近くなります。 その茶葉が培ってきたものをしっかりと見つめてあげたいと願っております。良くない茶葉があるのは事実ですが、 なぜ?良くないのか?どうすればもっと良くなるのか?もう少し中まで見つめてあげて頂けないでしょうか? 人と同じで外見だけで判断するのではなく、しっかりと理解する事でより良いコミュニケーションがとれるのと同じで、 感じる事から始めるお茶とのコミュニケーションを大切にしていきたいです。

至らない事も多々あります

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毎年、スタディツアーを開催しながら、毎回反省をしています。もっと良くならないのか?もっとお茶との距離を縮められないか? まだまだ未熟で至らない点ばかりの私達ですが、お茶を大切にする気持ちや皆さんがよりお茶の事を理解出来るように最大限の努力をしております。 スタディツアーで参加者の方と話した事や一緒に飲んだお茶や集合写真は私にとってかけがえのない財産です。 スタディツアーは現地と触れる接点を作ることを中心に考え、茶産地研修はもっと踏み込んだお茶と向き合うコースを作ります。 視察研修はお茶三昧になると思いますが、それでも学びきれない物がたくさんあるぐらい文化や歴史は深いものだと毎回体感しております。 より多くの方とこの体験を通じて、中国茶への理解が深まることを願っております。

大高勇気の志

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中国で13年間中国茶を取り扱い、大変な事や難しい事ばかりの月日が経過していく中で感じる事の出来た茶農家の思い、社員への感謝、生徒さんへの願い。 中国で休むこと無く走り続け、日本にも帰らず、親にも連絡をせず、自分の信じた道を走り続けていた時に、 大切な師匠の死をきっかけに「生きる」事を考えるようになった私がいました。 立ち止まった時に両親への感謝が心の奥底から込み上げ、涙が止まらなかった事を今でも明確に覚えています。 連絡もつかない時期、食べるのにも苦労した時期、様々な時を重ねてきた思いを込めて2014年ドリームプラン・プレゼンテーション世界大会に参加しました。 その全てはプレゼンの中にあるフレーズに込めました。「僕はあなたたちが願う息子になれていますか?」これからも人として絶え間なく成長し、 親に恥じること無く力強く生きていく決意をこの協会に込めております。命の続く限り中国茶を伝え続けます。

中国に頂いた縁の恩返し

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中国で中国茶と出会う事が出来、中国茶に頂いた縁で最愛の妻と結婚し、2015年に大切な大切な娘を授かりました。 この娘が大きくなった時にも変わらず美味しいお茶がたくさん飲める環境を私達は守り続けていきたいと思います。 20年後中国茶がどのようになっているか想像も出来ませんが、自分が出来ることからこつこつと積み重ねていきます。 理事長紹介のページに娘の写真?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、私もたくさんの先祖が繋げてくれたものを学び、頂き、生活しています。 そして、これからも命のバトンを渡しながら私が伝えられるものを日々考え、学びを怠ること無く中国に恩返し出来るよう歩みを重ねてまいります。

中国茶に習い、交流から学ぶ

一生かけて学び続けるクラスメイトとして、共に中国茶の良さを分かち合える同志として、茶農家と共にお茶を愛するパートナーとして、 会員の皆様が、協会の活動や講座にて多くの出会いが生まれることを切に願い、「交流」を名前に刻みました。 皆様とお会いできる日を心から愉しみにしております。

長文にお付き合い下さりありがとうございました。
皆様の充実した中国茶Lifeを中国より願っております。

一般社団法人 日本中国茶文化交流協会 理事長:大高勇気

当協会の中国茶認定教室にて、受講して頂けます。
当協会開催の授業は中国茶講座をご覧ください。

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